知事メッセージ『愛媛県における県立学校の再開について』

2020年4月10日 11時19分

      愛媛県における県立学校の再開について
                         令和2年4月7 日
                         愛媛県知事 中村時広
新型コロナウイルスの感染拡大に対処するため、政府の要請を受けて、3
月上旬に県立学校の休校措置を開始してから1か月余りが経過しました。
この間、児童生徒の皆さんが生活リズムや学習習慣を維持し充実した
日々を送ることができましたのは、本人や保護者の皆様及び学校関係者の
御努力はもとより、地域の皆様の温かい御支援の賜物であり、心よりお礼申
し上げます。
さて、新年度を迎えるに当たり、県立学校では、今後の人生の道筋を決め
る進学や就職を控えた高校生をはじめ、児童生徒の皆さんに対し、安全を確
保した上で、可能な限り十分な教育を行いたいと考え、万全の感染防止対策
の下、一部の学校を除き、例年どおりのスケジュールで学校を再開すること
といたしました。
学校再開については、県教育委員会が決定いたしますが、保健衛生行政を
所管する知事部局とともに様々な観点から慎重な検討を重ね、判断をして
おります。
以下、県民の健康を預かる知事の立場から、再開の判断に至るまでの考え
方を御説明させていただきます。
まず、県内の感染状況について、本県では、これまでに10 事例23 名の
感染が確認されておりますが(4月7日正午現在)、いずれも首都圏等県
外や海外からの感染が強く疑われるもので、感染源の特定ができない発症
者が多発している状況ではありません。これは、調査・追跡をすればウイ
ルスを封じ込められる可能性があるということであり、本県ではすべての
濃厚接触者に2週間の自宅待機と健康観察に御協力いただくとともに、無
症状であっても検体採取を行い感染の有無を早期に確認するなど、国の方
針よりもさらに踏み込んだ措置を講じることにより、事例ごとに着実に感
染の封じ込めを行っております(別添の資料をご覧ください)。
一方で、4月は様々な地域と人の行き来が盛んになる時期です。
これらのリスクに対しても、本県では、県民の皆様に、感染拡大地域への
旅行等の自粛や、やむを得ず旅行をした場合は、不特定多数が訪れる場所等
を避け、帰県後2週間は感染予防に留意するなどの水際対策の徹底をあら
ゆる機会を捉えてお願いしており、その結果、本県は、感染が拡大している
状況にはないということを御理解いただきたいと思います。
また、学校現場においても、3つの感染リスク(密閉・密集・密接)の管
理や毎日の健康管理等の徹底、教室での座席配置や授業時間・授業内容の工
夫など感染予防を図るための様々な対策を検討してきました。
こうした本県の感染の現状と感染予防策に加え、新学期を待ちわびる児
童生徒や保護者をはじめ学校再開に向けて努力を重ねてきた関係者の思い
や、休業を再度延長した場合の児童生徒等や教育活動への影響、さらには、
高等学校の生徒は感染リスクに対する判断能力・自己管理能力を有する学
齢であることや、特に新3年生にとっては、今後の人生に大きな影響を与え
る進路選択を目前にして、大学入試制度改革の方向性が大きく揺れる中で、
進路や学習の指導を丁寧に行う大切な時期であること、さらに特別支援学
校では、教員数が手厚く配置されており、感染リスク管理を適切に行えるこ
となど、様々な観点から検討を行った結果として、学校の再開を判断いたし
ました。
ただし、県内全域を一律に再開するのではなく、学校の所在する市町の状
況等を踏まえ、一部の県立学校では、再開を延期したところです。
また、医療的ケアを必要とする児童生徒や基礎疾患のある児童生徒、新型
コロナウイルス感染症に対する不安が強いなど登校することが困難な児童
生徒については、その不利益にならないよう、「欠席日数」には該当しない
取扱いを行うとともに、登校再開までの間の学習相談等については、その期
間に必要な学習課題の提供や、家庭訪問や電話等による指導などにより丁
寧に対応しますので、学校に御相談ください。
本日4月7日には、東京都など7都府県を対象に、新型コロナウイルス対
策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令される見込みです。
児童生徒や保護者の皆様には、学校再開について期待や不安など様々な
御意見があると認識しておりますが、私と県教育委員会が慎重な検討を重
ねた結果としての再開であり、学校現場では、教職員が総力をあげて、児
童生徒等の感染予防と、将来の礎となる大切な学びのために全力で準備を
行っております。また、今後も感染状況を注視し、変化が認められれば、
速やかに対応の見直しを検討することとしておりますので、今回の措置に
ついて、御理解と御協力をいただきますようお願いいたします。
最後に、感染拡大防止には、お一人おひとりの御協力が不可欠です。今
後とも気を緩めることなく、うがい・手洗い・換気をはじめ、密閉・密
集・密接の3つの密を極力避ける行動など、十分な注意をしていただくよ
う強くお願いいたします。